乗馬を始めてしばらく経つと、誰もが一度はぶつかる壁――それが「駈歩(かけあし)が出ない問題」です。
特に40代以降から乗馬を始めた方の中には、「脚を使ってるのに速歩のまま…」「馬が加速してしまって怖い…」と感じる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、中高年の乗馬初心者さん向けに「駈歩が出ない理由」と「駈歩の正しい出し方」を、わかりやすく解説します。
体の使い方の工夫や、おすすめのサポートグッズもご紹介します。
駈歩が出ない原因ベスト3
ではまずは、駈歩が出ない主な理由から見ていきましょう。
馬の状態が整っていない
駈歩を出すには、まず馬が前に動いている(推進がある)状態が必要です。
速歩の段階で「手綱を引きすぎている」「脚の圧が弱い」といった要因があると、馬にとっては「走るな」のサインに感じられてしまいます。
→ 前に進む力を作ってから、駈歩の扶助を出しましょう。
扶助があいまい or タイミングが悪い
駈歩の出だしでは、外方脚を後ろに引き、内方脚で推進をかけるのが基本。
この扶助があいまいだと、馬が混乱して「どうしたらいいの?」という反応になってしまいます。
また、**速歩のリズムの「立つ瞬間」**に扶助をかけると、成功率が上がります。
騎座が不安定で、馬に合図が届かない
駈歩を出すとき、体が硬くこわばっていたり、骨盤が前傾してしまうと、馬は「まだ速歩で」と誤解することも。
→ 騎座(お尻・骨盤)を鞍に沈める意識がとても大切です。
正しい駈歩の出し方|ステップ解説
駈歩が出ない原因がわかったところで、じゃあどうすればいいのか?
確認していきましょう。
ステップ1:軽速歩でリズムを作る
まずは軽速歩で、馬をしっかり前に進ませることを意識しましょう。
手綱は張りすぎず、馬の動きを邪魔しないように。
ここをサボってしまうと、わかりやすく駈歩が出にくくなります。
人間がサボると馬もサボっちゃうんですよね。
ステップ2:駈歩の準備(脚と体の使い方)
合図は丁寧に、焦らず、正確に。
- 外方脚(例:右手前なら左脚)を少し後ろに引く
- 内方脚(右手前なら右脚)で「前に!」と合図
- 同時に、腰を沈めるように鞍に乗せる(前傾しない!)
加速にビビって、駈歩が出る前に前傾してしまう人が多いのですが、前傾して前のめりになってしまうと、馬が前脚を上げにくくなってしまいます。
目線を落とさず、しっかり前を見ることも大事。(人間の頭は重い)
ステップ3:「今、出させる」という意志を明確に
駈歩は「なんとなく出たらいいな」ではなく、**「今、出させる」**という強い気持ちが大切です。
遠慮しすぎると、馬も戸惑います。
中高年が意識すべき3つのポイント
大人だからこそ意識すべきポイントも3つ、お伝えしておきます。
骨盤・股関節の柔軟性を上げる
年齢を重ねると、股関節の可動域や骨盤の柔軟性が低下しがちです。
日々のストレッチや、バランスディスクなどでの体幹トレーニングを取り入れましょう。
ストレッチポールやテニスボールでお尻周りをほぐすこともおすすめです。
怖さを受け入れて、少しずつ慣れる
「落馬したらどうしよう…」「速く走るのが怖い…」という不安は当然のものです。
大切なのは、怖さを“悪いこと”と思わず、徐々に慣れること。
乗馬で上達を目指すなら、落馬は割と日常茶飯事可と思いますが、駈歩発進時に後ろに落ちる人は、極めて稀です。
恐れずしっかり後ろに重心を置きましょう。
それができれば、急に速く走られる心配も、基本的にはありません。
鞍やブーツ、キュロットを見直して、正しい姿勢をサポート
騎座が不安定な原因の一つに、鞍や装具のフィット感が悪いことがあります。
自分に合った装具に変えるだけで、扶助がぐっと伝わりやすくなることも。
鞍は高価でなかなか買い替えができないため、滑り止めの形が異なるキュロットでいくつか試してみるのがおすすめです。
まとめ|駈歩は“準備”と“意志”で変わる
駈歩が出ないのは、あなたの技術不足ではありません。
馬とのコミュニケーションに必要な「タイミング・意志・体の使い方」のバランスを取ることで、必ず改善していきます。
年齢に関係なく、乗馬はいつからでも上達できるスポーツ。
今日からぜひ、ひとつずつ意識してみてくださいね。
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