乗馬を続ける中で、多くの人が悩むのが「鐙(あぶみ)の長さ」の問題です。
長すぎるとバランスが取りづらく、短すぎると脚が固定できず疲れてしまう。
鐙の長さは、快適さと安全性、そして技術の上達に深く関わってきます。
この記事では、鐙の長さを調整する基本から、騎乗スタイル別の考え方、よくあるミスや改善のコツまでを、分かりやすくご紹介します。
鐙の長さが乗馬に与える影響とは?
鐙の長さは単なる“好み”ではなく、馬上での体の安定・脚の使い方・バランスすべてに直結する重要な要素です。
長すぎるとどうなる?
- 騎座が深く沈みにくく、脚が突っ張ってしまう
- 脚の重さを鐙で支えられず、バランスを崩しやすい
- 駈歩や巻乗りで鐙を失いやすい
特に初心者や体幹に不安のある中高年の方は、長すぎる鐙で騎乗すると腰痛や膝痛の原因になることもあります。
短すぎるとどうなる?
- 膝の角度が強くなり、脚が安定しづらい
- 上半身が前傾し、騎座が浮きやすくなる
- 腰や背中に余計な負担がかかる
バランスを取るのに全身が緊張し、疲れやすくなるため、継続的な練習が苦痛に感じられることも。
鐙の長さの基本的な合わせ方
初心者〜中級者がまず身につけるべきは、「標準的な鐙の長さ」の感覚です。
以下は馬場馬術の基本スタイルにおける測り方の一例です。
鞍に座った状態での調整
- 馬上で鐙を履いた状態からスタート。
- 両足を鐙から外し、脚を自然に垂らす。
- 脚の一番長い部分(くるぶしの少し下)が鐙の底に触れるように調整。
この長さが**「基準の長さ」**になります。
鞍に乗る前の腕で測る方法(補助的)
- 地上で鞍に鐙をかけた状態で、鐙革の上端を肩に当てる。
- 反対の手で鐙の底を持ち、腕をまっすぐ伸ばしたときに届く長さに調整。
これは「おおよその目安」ですが、馬上での再調整は必須です。
スタイル・目的別 鐙の長さの最適化
鐙の長さは、目的や騎乗スタイルによって微調整が必要です。
馬場馬術|やや長めで座り重視
馬場では鐙をやや長めにして、騎座の安定と脚の伸びを重視します。
太もも裏を鞍に密着させ、脚の重さを馬体に預けるように意識すると良いでしょう。
→【目安】基準より+1穴(長くする)
障害飛越|短めで瞬発力重視
鐙を短くして、常に軽く立つ姿勢(ハーフシート)を取りやすくします。
脚と鐙でショックを吸収し、馬の動きについていくための設定です。
→【目安】基準より−2穴(短くする)
外乗・トレッキング|快適性重視
長時間の外乗では、鐙が快適で疲れにくい長さであることが大切。
一般的には標準〜やや長めが推奨されますが、自分が「楽」と感じる位置を優先しましょう。
よくある間違いと改善のヒント
鐙の長さに関して初心者がよくやってしまうミスと、修正のコツを紹介します。
騎乗中に頻繁に鐙が外れる
長すぎる、または脚が安定していない可能性大。
まずは1穴短くしてみて、膝と太ももで軽く鞍を挟む意識を持ちましょう。
駈歩になると鐙が跳ねる・バランスを崩す
鐙の長さに加えて、「踵の位置」と「膝下の力の抜き方」が鍵です。
鐙に全体重を預けず、股関節から馬体を包み込むような感覚を練習しましょう。
中高年の方へのワンポイントアドバイス
40代〜60代の方は、柔軟性や筋力に不安があることも。
鐙の長さ調整は、「脚を伸ばそうと無理をしない」ことが大切です。
- 膝や股関節に痛みが出るときは1穴短くして負担を軽減
- 足の裏全体で鐙を受けるように意識すると体重を均等に分散
まとめ|鐙の長さを制する者は乗馬を制す
鐙の長さは、乗馬の快適さ・安全性・技術向上に直結する“超重要ポイント”です。
年齢や経験に関係なく、自分の体と向き合いながら微調整を繰り返すことが上達の近道になります。
まずは「ちょっとだけ変えてみる」ことから始めてください。
騎乗がグッと楽になり、馬との一体感も増してくるはずです。
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